■経営部会セミナー
〜どうすれば、広告制作会社がアプリで成功できるのか〜
「アプリ開発をビジネスにする方法」
日 時
:
2013年7月9日(火)午後6時00分〜7時30分
場 所
:
株式会社TOO・3階「ギャラリーTOO」
講 師
:
山本 勲氏(株式会社スナップ代表取締役会長)
田達彦氏(ハル・エンジニアリング株式会社代表取締役)
出席者数
:
40名
7月の経営部会セミナーは、〜どうすれば、広告制作会社がアプリで成功できるのか〜
「アプリ開発をビジネスにする方法」と題してオープンセミナーを実施した。
講師には、OAC会員会社でもある株式会社スナップの山本氏とハル・エンジニアリング株式会社の平田氏のお二人をお招きし、広告制作会社としてのアプリ開発から異業種コラボにまつわる成功秘話などを語っていただいた。
■INTERACTION
冒頭、この日会場をご提供いただいた株式会社TOOの石井社長よりご挨拶があり、昨年12月オープンの新しいオフィスの説明も含め和やかなムードでセミナーがスタートした。
山本氏より配布された過去のスナップさんの会社案内とCD-ROMをもとに、紙物と動きのある映像との違いをインタラクションという切り口で解説をされた。氏曰く、現時点で一番良質のインタラクションはGoogle Mapであるとのこと。
インタラクションとは2人の行為者が交互に聞き、考え、話す循環的なプロセスのことであり、それを発展させたインタラクション・コミュニケーション・デザインとは、人と人、人とものごととの相互の関係と仕組みをつくることである。そしてそれらの情報と知識を融合させる智恵こそが異業種コラボであり、スナップとハル・エンジニアリングとのコラボの肝要は「ゴールを先に」見据えた事にあった。
■アプリの構成要素
上記で説明したインタラクションは、プラットフォームを構成するTECHNOLOHYと、直観的なインターフェイスであるGUIを掛け合わせたものであり、そこに価値あるUX(ユーザーエクスペリエンス)が加わることで、アプリがヒットにつながる。アプリ開発においてこのTECHNOLOGYとGUI、UXが必要条件である。
またアプリの背景として、App Storeのアプリが500億ダウンロードを突破し爆発的拡大となった経緯があり、支払われた金額は25億ドルとなり今やアプリは一大コンテンツ産業となっている。
■Memo Cal+
スナップとハル・エンジニアリングの異業種コラボでリリースされたMemo Cal+は、累計24万ダウンロードを超えるヒット商品となった。その出会いはリーマンショックで大ダメージを受けた直後に開催された展示会で、お互いの得意分野と苦手分野を補完できる関係にあることが分かり、「自立するには自社製品を作るしかない」という考えのもと付加価値を付けたアプリを開発することになった。 また、Memo Cal+の使用法を勝手に紹介してくれるユーザーが現れ、You tubeなどで色々な動画がアップされさらに広まっていった。
■開発アプリ事例
平田社長より横浜市のゴミ処理アプリを例に、その開発経緯をお話しいただいた。トップダウンではなく現場からアイデアを出させ、そしてまずそれを一度作ってみるところから始めた。そして自分自身で売り込み先を見つけることで社内においても良い回転となっていった。最初はこのアプリは無償で納品をすることになったが、その後メジャー紙に取り上げられることで知名度があがり、今度は何も広告展開をしなくとも全国から要望が寄せられるようになっていった。現在はいくつかの案件を抱え、これから収益を踏まえた実質的な展開をしている段階である。
自分たちの強みを持つ事がとても大事であり、お互いを尊重し異業種交流のさらに一歩先へ進むことが大切である。
以下、山本氏より本日のセミナーにおいて大切なメッセージをいただいた。
『生活者は新しい感動、新しい快適さを求めています。それを私たちがどのような信念をもって満たすのかです。また、アプリは人々の生活になくてはならないものになりました。
そして、コミュニケーション・デザインが受け持つ領域が大きく広がってきています。
私たちは、いま「次の世代のデザイン」を語る立場にあります。それは、「どのような社会を築いていくか」といった大命題を自覚しなければなりません。私たちのデザインの目標が、モノからこころへと大きく変化しました。
つまり、量的目標から生活者の生活の質を変えるという価値目標へと私たちは向かわなければなりません。まさに、デザインの新しいフェーズに入ったのです。本日のセミナーのキーワードは、インタラクションです。ポイントは、インタラクションとコミュニケーション・デザインを組み合わせ、そこに、私たちの大事にしてきた独自の文化である。優しさ、思いやり、おもてなし、つながると云った価値観をにオンさせ、世界に類のないアプリ文化を構築することではないでしょうか。』 セミナー終了後も活発な質疑応答が続き、盛況の中終了となった。