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OAC 社団法人 日本広告制作協会
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■わくわく創出部会

わくわくソリューションラボ2015 第1回の開催報告
「3Dデジタルデータのビジネスとちょっと先の未来予測」
開催日 2015年9月28日(月) 18:00〜20:00
会場 株式会社Too「The Gallery Too」
講師 株式会社ケイズデザインラボ代表取締役 原雄司氏
参加者数 30名
プロの技を実体験する「わざラボ」と最新コミュニケーション・デザイン分野の情報をお届けする「WEB ビズ研」のふたつのセミナーが合体して「わくわくソリューションラボ」としてリニューアル!
今回は、その1回目として3Dデジタルデータにおける第一人者の原雄司さんをお招きし、新しいビジネスの方向性についてお話ししていただきました。

ケイズデザインラボのさまざまな作品事例

  • 和歌山工業高校への3Dツール導入支援
  • 世界初3Dプリンターでのウォッチ制作
  • オリンピックに出場するスキージャンプ選手をスキャン
    →高精度3D全身スキャナーを使い、オリンピックに出場する選手全員をスキャン。
  • 大阪大学の石黒教授アンドロイド開発支援
  • 現代美術家であるKohei Nawaさんの作品制作協力
    海外で展示会がある時、展示会場の近くに3Dプリンターがあれば、そこで作品制作も可能になる。
  • 書道家である紫舟さんの作品を立体化
  • セゾンカードのCM制作協力
    →馬を3Dスキャンして座らせる
  • 貴重な文化財のデータを復元
    →仏像の本来の姿や色をデジタルデータで再現している
  • ホンダのコンセプトカー3Dデータダウンロードサイトの構築支援
  • SUBARUのPR動画用3Dプリントラジコンカー制作 →板金は厚みがないので3Dプリントデータにするためには、データをつくりなおさないといけなかったが、実質1週間くらいで制作した。
  • 鴨川シーワールドの3Dプリントサービスの支援
  • Perfumeのプロモーション動画制作協力
    →bodySCAN3Dを使う
  • ゆずのプロモーション動画制作協力
  • BELLERING少女ハートのCDジャケット制作協力
    →ファンの間で話題になり、プレゼント用フィギュアを後に制作
  • マキシムから発売されている商品トリプレッソのキャンペーン協力
    →松崎しげるさんの頭と同じ大きさのコップを制作
  • マツコ・デラックスさんのアンドロイド制作
  • DMM.COM事業立ち上げ支援
    →ネットで注文、3Dデータを送れば造形物が自宅に届くように
などなど、様々な取り組みを行っています。

現在の3Dプリンターについて

工場でしかつくれなかったものが、パソコン一台あれば個人でもつくれるようになり、すぐに起業できる世の中になった。
高価だった3Dプリンターも、今では安い機種が続々と登場するように。
5万円以下のプリンターも、5年前の100万円くらいの機器に匹敵する性能。
ちなみに現在、3Dプリンターは第三次ブーム。
Visualizing infoによる2015年現在の日本は、3Dプリンターが220億市場を占めると公表している。

また2020年には世界市場では21兆規模になると予測されています。

世界中の3Dプリンターによるさまざまな事例

金属やセラミックの造形3Dプリンターや、陶器を直接造形できるプリンターも。
また、2.6センチサイズをわずか6分で造形できるプリンターも現れる。

  • 3Dプリンターで車を製作
  • スポーツカーのシェルビー・コブラの復刻版を制作
    →軽量でかつ丈夫につくれる。3Dプリンターの良さふんだんに取り入れている。
    数年後には自分がデザインした車もつくれるようになりそう。
  • 3Dプリンター+ファブリックを使った新しい車の提案
    →かわった車の制作などの動きがかなり出てきている。軽い新素材との融合。
  • 中国企業24時間で10棟のプレハブを制作
    →住宅を3Dプリント。今年は、もっと大きな建物も。
  • ルイスグランドホテル(フィリピン)、世界初の3Dプリンターでつくったホテル
    →2年後には2000戸以上の低所得者向けの家をつくる予定。
  • ファッションやフードにも3Dプリンター
    →ルイ・ヴィトンも。

3Dプリンターの課題

これらの問題が、現在解消されつつある。

ラピッドプロトタイピング(試作)から3Dプリンターへ。
つまり、最終製品の造形が可能に!

過去のブームと現在のブームの違いは…

今後のものづくり

ものづくりの民主化の時代へ!

3Dプリンターの現在の特徴

  • 1個からでもつくれる
  • 複雑なデータも出力するだけで完成
  • データは距離を越えられる(ネットを通じて)

構造的+混沌、その二つからイノベーションが生まれる。

これからはストーリー性が必要になる時代。

  • 蔦屋家電
    →利用者は今の機能性の高い家電を使いこなせていない。歴史やストーリーがわかるやり方で販売していく。商品の隣にストーリーを記した本を置いたり。

ケイズデザインラボの最近の事例

  • 原さん自身も、娘さんの足のデータをとって、3Dプリンターでサンダルをつくったりしている。
    →娘さん大喜び!
  • ウォールステッチプロジェクト
    →刺繍のような看板
  • ・ 視覚障害者のための触って楽しむ絵画を制作
    →富嶽三十六景など。絵はがきサイズにしたりもでき、3Dプロジェクションマッピングも可能に。
  • スーパーフルムーンの照明器具制作
    →サイズも変えられる。バイヤーからいっぱい問い合わせもらっている。
  • 有田焼とのコラボレーション
    →3Dプリンターを使って展示会場でペン立てをつくり、販売した。
  • 金沢の漆塗り職人と料亭の銭屋とコラボレーション
    →3Dプリンターでつくった器に漆塗る。銭屋の料理長の要望で皿をつくった。
  • SUBARUの動画プロモーション用にプリンターで作ったラジコンカーを75万で販売
  • アンドロイド・アスナの制作
    →ツタヤ家電で販売員をしている。当初は顔のみだったが、現在は足までできている。
  • 蔦屋家電でスターウォーズイベントを開催
      →デス・スター2のデジタルデータを一からつくり、ランプシェードを制作、 27万5千円で販売し、初日から在庫切れに。
  • 次元と共同開発したスマホケースを制作
    →キルティングや革に見えるが、実はプラスチック素材。

従来の広報では不可能だったことを実現に。
大量生産は今後も必要だが、個人に向けた商品をつくる時代に。

3Dプリンター技術に対する日本の反応

キックスターターのサイトで、レーザーを使った男性用かみそり「SKARP」が発売されたときの日本の反応は…

  • もう既にある
  • 高価すぎる
  • 女性用は既にある
  • 幅広くレーザーを放つのは大変

2ヶ月で17種24製品の家電をつくった30歳の女社長が現れたときは…

  • 女性社長だからもてはやされている
  • バックに誰かがついていて援助している
  • OEM/ODMなんてみんなやっている
  • 既製品の色を変えただけ

→文句や中傷で終止。新しいアイデアを見てけなす傾向にある。
 創った人に敬意を表することがない。しかも・・・

プリンターの基礎技術発明は日本人!

小玉秀男さんが1980年に3Dプリンターを発明し、特許を出願。
しかし、時代も企業も興味示さず、特許の期限は切れ、アメリカの企業が特許を出願。
現在では、米国製品が90%のシェアを誇っている。
→既成概念を壊して、新しい技術を取り入れていかなかったため。

まとめ

ポイント①
3Dデータは…リアルとデジタルを簡単に行き来できる

ポイント②
3Dデータは…さまざまな人の考え方を結びつける共通言語

ポイント③
概念を壊す(Break the bias)

「東京の恵比寿にある会社で実演していますので、ぜひ遊びにきてください」との原さんの言葉で講演は締めくくられ、質疑応答の時間へ…。

質疑応答

  • セミナー参加者
  • 原さん
  • プロとアマの境目なくなっている時代。今後デザイナーとして3Dプリンターにはどう対応していけばいいのか?付き合い方は?
  • 道具として使うことで、デザイナーの武器になる。
    プロがいらないというわけではない、プロ意識を高めてくいい機会だと思う。
  • フィギア的なものをつくりたいが、今までの3Dプリンターは高価で、使える材料が限られていて、クオリティーも低かった。導入したいとは思うが、いつ導入すればいいのか、どれだけの設備を用意すればいいのか?また、コンサルタントとしても支援してくれるのか?
  • プリンター導入のお手伝いをかなりしている。その結果、導入しないということに なることもある。2、3年後は特許が切れていくのでいい性能のプリンターが安く出て くることになりそうなので、小規模の会社ではまだ導入は待った方がいい場合もあ る。
  • ケイズデザインラボは上場を目指しているのか?営業社員は何人いるのか?
  • 上場について、役員会からはプレッシャーをかけられているが、海外戦略を主体にすれば上場できるかもしれないと思っている。
    営業は強化している。現在は26人中3人が営業社員。プロデューサーみたいなスタッフもいる。
  • 原さん自身は営業をすることはあるのか?
  • 営業は苦手。私は出させてもらえていない。
  • 3Dプリンターで、紙に変わるような、例えば名刺みたいなものとかはつくられていく可能性はあるのか?
  • 紙の3Dプリンターは日本で既に発明されている。今は海外にライセンスがある状態。コピー用紙みたいなものなので、コストもコピーの費用と同じくらい。
  • 今後、作品をつくっていく際にクライアントとの話し合いをする上で、手描きのやりとりはなくなっていくのか?
  • 手描きや手作りはなくしたくない。金沢の食器のプロジェクトも最初はスケッチをすることで始まった。単なるデジタルデータのモデリングではできないものがある。

こうして、3Dデジタルデータの第一人者である原さんによる、世界を見据えた今後のものづくりについてのセミナーが幕を閉じました。セミナーの後は、実際に3Dプリンターでつくられた作品を触ったり、原さんと直接お話されたりと、有意義な時間を過ごされたのではないでしょうか。
本日参加されたみなさん、お疲れさまでした!
わくわくソリューションラボ2015は、残り4回。今後も作品づくりのヒントがいっぱいのセミナーを開催していきますので、ぜひお気軽にご参加ください。

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