おおつち12の宝物 2019カレンダー

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2018年6月28日(木)

7回目を迎える大槌支援カレンダー制作

東日本大震災の翌年から動き出した、大槌を支援するカレンダー制作。
当初は仮設住宅に暮らす方々にお届けすることを目的としてきましたが、地元の方々が動き出す機会にもしたいと、
3、4回目は地元大槌の子どもたち(小学校4年生)に大槌の自慢できる風景や祭り、海産物などの絵を描いてもらい、
それをプロのクリエイターがデザインしカレンダーに。
5、6回目は同じく子どもたちに大槌が誇れるテーマから考えてもらい、
それをキャッチコピーにしてもらう授業を行い、その言葉からのイメージをカレンダーに仕上げました。

仮設住宅を出る人が多くなってきているいま、
これからの大槌を支えていく子どもたちに地元を想う気持ちの醸成に繋がればと考えています。

おしゃっち


さて明日朝からの授業のため前日入りした私たちは、
いつものように城山公園からの定点撮影。
ずいぶんと家も建ち始めました。


さて、見ると円形の窪みと何やら施設が出来ています。
あれは何だ?と、早速観にいくことに。

到着して中に入ろうとしたら、同じくやってきた人が私たちに声を掛けてきました。
『どこからですか?』
『東京からです。実は大槌学園の子どもたちとカレンダーを創っていて、明日授業なんです』
『あぁ、あのカレンダー!ユニークで誰が創っているんだろうと、思ってたんですよ。
実はわたくし、ここの館長をしてまして、6月10日にオープンしたばかりですが、もしお時間あるようでしたら中をご案内しますよ』


声を掛けて来てくれたのは、
大槌町文化交流センター(愛称 おしゃっち)の館長、
北田竹美さん。

『ここは震災の記録を保存し、伝えていきつつ、みんなが集まりやすい施設を目指しています。当初はカフェも併設しようと思っていたのですが、予算的に合わなくて、じゃコンビニを誘致しようということにしました。駐車場も無料にして、多くの方が気軽に訪れるようにしています。
ちなみに、この施設は手を広げたような木造構造で屋根を支える。お互いが手で結び合っている、そんなデザインになっています。そこで「手をつなぎ、みんなで支える大槌町」というキーフレーズを作りました。シンボルマークも、構造をヒントに手をつないで支えている様子を表現し、手をつなぎ、支えるという二つの意味合いを持たせています。また夜も安心できるようにライトアップしています』

さて、中に入ってすぐ目に飛び込んできたのは、大槌のジオラマ。

近寄ってみると・・・

そこには震災前の家並みと、
そこに暮らしていた方のお名前がありました。

また1階には、震災後の一人ひとりの想いを綴ったパネルなど、
伝えていくべきこと、これからに対する想いなどが展示されています。

多目的ホール天井部

下は移動観覧席(136席)を設けた
多目的ホールの天井部分。
ここもコンセプトである支え合う構造と
なっていました。
コンサートや郷土芸能などに使用されるようです。

2階に上がると、震災時のパネルと映像展示。


そして、これはすごいと思ったのは、『生きた証し』

以下2018年4月7日の河北新聞の記事をご紹介します。

東日本大震災で関連死を含め1286人が命を落とした岩手県大槌町で、犠牲者の人柄や被災状況を聞き取った回顧録「生きた証(あかし)」の第2版が完成した。
新たに76人分を掲載し、第1版545人分と合わせて621人の「人生」が収録された。
2014年度に始まった被災自治体による前例のない事業は、全犠牲者の8%を取り上げるという大きな成果を上げて区切りとなる。「生きた証プロジェクト」は、人口の約1割が犠牲になった町で町民有志が主体となって進めてきた。17年度は、これまで回答を保留したり接触できなかったりした451人分の遺族に再び打診した。昨年3月に刊行した第1版を読んだことで理解が得られ、掲載を希望する遺族もいたという。
聞き取り調査に携わった町民有志には震災遺族が少なくない。次女が行方不明という小林一成さん(78)は「自分も遺族だからこそ相手が心を開き、話を聞かせてもらえた。娘の存在を伝え残すこともできた」と振り返る。
上野ヒデさんは夫と町職員だった長女が犠牲になった。津波で被災した旧役場庁舎の保存を訴えながら編集作業に当たってきたが、第2版の刊行を目前にした今年3月5日、75歳で亡くなった。 町民有志を率いた高橋英悟さん(45)は「大切な身内を亡くした人が先頭に立ってくれたおかげで、プロジェクトは大きく進んだ。大槌の未来につながる大切な教えが詰まった回顧録ができた」と語った。

北田館長は、聞き取り調査はそれを遺族の方が受け入れてくれるかどうかも分からないが、
震災後あまり間を空けることなく実施しなければ、記憶も曖昧になってくる。
そこで、協力していただけた遺族の方に聴いたわけだが、聴く方もその現実に打ちひしがれて精神的に参ってしまう人もいました。
と語ります。
ページをめくるたびに、故人の人生震災時の状況、そして残された家族の想いが綴られ、
今回授業に出向いた4人とも、感傷的になってしまったのでした。

その後、3階に上がるとそこは図書館。木の匂いに囲まれた図書館でした。
子どもたちも何人か来ていて、『生きた証』と『これから生きていく子どもたち』が、
まさに伝え、集い、支え合うという目的がカタチになっていました。

さて、ホテルに戻った我々は、深夜にサッカーW杯の日本vsポーランドを観戦。
1点を先取され、セネガルVSコロンビアの結果次第になったのはご承知の通り。しかし、ゼロゼロの前半時点では、グループトップ。
1点入れられて、グループ3位。コロンビアが1点入れて、グループ2位と、大変な状況でしたね。
しかもセネガルとは、フェアプレイポイントの差のみ。
どうにか決勝トーナメント進出が決まり、安心してひと眠りです。

出前授業に続く